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第十三話「鏡」


あの停電でのバトルから2・3日が経ち随分私はノンビリ普通の日々を満喫している。
あの戦いのあとチャチャゼロが壊れたの何のと、追い掛け回されたが何とか腕の良い人形職人が見つかり事無きを得た。
私はそんな事を思い出しながら、休日を部屋で雑誌を読みながら時間を潰していた。
「んー!! いいわねー、ノンビリできるって。」
雑誌をポイと投げ背伸びをする。
まったくもって平和である。
それがどんなに素晴らしいことか、今まで非日常を送っていたとは他の人には予想もつくまい。
「さて、修学旅行も近いし必要な物でも買いにいくかな。」
時間は約10時前、そろそろ出なければお店を見て回る時間がなくなる。
そして、私が買い物準備をしようと動こうとした時。
「海里さーん、いますかー?」
「海里ー、おるかえー?」
私と同じ寮にいる二人の声が聞こえる。
「どうしたのー?」
私は二人に声をかけなおす。
すると、二人は何も言わずに私をずるずると部屋の外へ引っ張っていく。
普通ならば、今ここで質問してもいいのだが。
普段こんなことをしない二人がこんなことをすると逆に声をかけずらくなる。
「・・・いったい、なに?」
一応連れ去られる前にバックと財布はもってつれていかれた。
そのまま買い物もいいだろうと思って。
私は抵抗のせず二人に引きずられていった。
廊下で那波さん達に見られ笑われてしまったが・・・あうう。


「で、いいったいどうしたの?」
私はなぜかそのまま駅へとネギ君と木乃香と一緒に歩いていた。
まあ、連れて来られた理由をそろそろ聞いていいかなーと思い話を切り出した。
するとネギ君がニコっと笑って言う。
「明日はアスナさんの誕生日ですよねー。」
・・・あれ? そうだっけ?
私は最近日にちの感覚がない、まあ理由はあえていいたくないが。
木乃香は私の顔をみて忘れていたと気がついたのか笑い始め
「あはは、なんやー海里。 アスナの誕生日忘れとったんかー?」
ネギ君もアハハと笑い出す。
むう、なんか悔しい。
なにか虚しい敗北感を味わいつつ私たちは買い物にでかけるのであった。
その時、木乃香は
「ついでに、修学旅行の準備もしてしまおうなー。」
と、私が言おうとしたセリフまで言われてしまい。
流石にヘコンだ。

電車に揺れる中、昨日カモがまた馬鹿なことをやらかしたといって簀巻きにされてたのを思い出した。
話しによると、修学旅行の準備で服を選びにでたらしいのだが。
ちなみに私はその日は怪我の回復で動けなかった。
あのエロカモはネギ君を木乃香とも仮契約させようとしていたらしい。
まったく節操がないと言うかなんというか。
一度は死ぬ思いをさせてやるべきだな。
例えば・・・オコジョ鍋とか。
私は頭のなかでカモをいじめながら目的地についた。


「どんなのがいいんやろなー?」
「うーん、どうでしょう?」
私は自分の修学旅行の自由行動の服は会計を済ませてアスナの誕生日プレゼントで二人と一緒に悩んでいた。
ちなみに私の自由行動の服は・・・まあジーパンが似合う服装だ。
あんまり女の子って言う服装は苦手なもので。
それはいいとして、目の前の二人は可愛らしい服やアクセサリーを選んでいる。
アスナってそんなに女の子らしくみえったけ?
なんと言うか、随分男勝りなような気がするのだが。
「これなんてどう?」
私は二人にヒョイとニット帽子を渡してみる。
「あー、これも案外にあいそうやなー。」
「ですねー。」
二人はまたその場で品物を見ている。
なんと言うか、じれったい。
「ハイハイ二人とも、お店はまだ他にあるんだから。 そこを見てから決めても遅くないでしょう。」
手をポンポンと叩きながら二人ののんびり行動を促す。
「あー、そやなー他の店も見て回ろうかネギくん。」
「それがいいですねー。」
二人はよっこいしょと言わんばかりにやっとその場所を離れる。
「あー、一体何時間かけるつもりよ・・。」
私は頭を抱えつつふたりについていった。


あれから、約2時間。
まだ私達はアスナの誕生日プレゼントを決めあぐねていた。
フウ、私はいいかげん退屈し始めて当りを見まわすと。
「!! スケートボード専門店!? 「ダッシュ」!?」
私はその場で立ち尽くした。
あれは今まで見たことの無い、世界の秘境!!
ああ、呼んでいる!!
私がそれに目を奪われていると木乃香がそれに気がつき。
「あー、海里はほんまにスケボー好きやなー。 ええで、後はウチとネギ君で決めるさかい。」
木乃香はしょーがないなーといった顔で行ってらっしゃいと行ってくる。
「ありがと!! じゃあ、集合はいつもの公園でねー!!」
私は木乃香にお礼をいっていつも買い物ではぐれた時落ち合う公園で集まると約束して走り去った。


す、すばらしい。
私は目の前に広がる夢を見つめている。
一面に広がるボード、ベアリング、タイヤ。
ああ、これぞ至福の時!!
これぞビバ!! スケーター!!
「うわっ、このボードデザインがカッコイイ。」
ほへーとうっとり見つめてしまう。
「っち、お金下ろしてくればよかった。」
今日は見るだけで予算がない。
ハァと視線を落した時不思議なものを見た気がした。
ガラス越しに一瞬だが見覚えのある女の子が通りすぎていった。
確信はない、ただの身間違えということもある。
だけど私はそんな事も考えずお店を飛び出して女の子の跡を追っていた。
人ごみの中、目印となる白い髪を見つけ後を追っていく。
なんだか頭に引っかかる。
そう、こんな感じ前にあったような気がする。
「うーん、どこでだっけなー?」
私は考えつつもその女の子の跡を追いかける。
しばらくすると路地に入り、行き止まりにたどり着く。
その女の子は奥で静かに佇んでいる。
やっと、女の子を確かに確認できた。
白い髪も服装も・・・あれ、なんかあの服装みたことがあるような。
私はそう考えつつ、不意に横のガラスに映る自分の姿を見る。
「えっ。」
しばし硬直する。
そう私が追っていた彼女は見覚えがあるのではなく。
風貌や髪、そして着ている服装までまったく一緒だった。
まさか、顔まで似ているあるはず無いと思った瞬間彼女が口を開きながらこっちを向く。
「やっと気がついた、海里。」
女の子は笑いながら私の名前を呼ぶ。
「・・・。」
私は声が出なかった。
なぜなら彼女は顔までまったく同じであった。
そうなると、答えはたった一つ。
「生き別れの双子の姉さん!?」
私がそう答えると目の前の私の姉? らしき人物はコケル。
「・・・そ、そうくるとは思わなかったわ。」
頭を押さえつつ立ちあがる私の姉(仮)。
何やら気に食わない様子で私を見つめ口を開く。
「そのようじゃ、あの時のことも覚えていないらしいわね。」
あの時? 私は姉さん(仮)とあったことが会ったのか?
いや、あるはずがない。
と言うより、一人っ子だと親から聞いている。
つかそうしかありえん。
「えーい、一々描写に(仮)をつけるな!!」
「えっ。」
私はまた驚くことになる。
心が読まれている?
女の子はイラついた表情でタンタンと語り始める。
「ふんっ、一つだけ教えてあげるわ。 私の名前は生野 海里。 麻帆良学園中等部3−Aクラス。」
目の前の女の子は自分は私だと言い放つ。
ん?
自分が私?
「あれ?」
変だ、私が生野 海里のはずだ。
しかし生野 海里と名乗った女の子はウソをついている様子はない。
私が混乱しているのに気がついたのか、それを見た途端笑い出し話しかけて来る。
「あははは、いいわよ海里。 ここまで弱いなんて思ってなかったわ。」
私に似た女の子は目の前で愉快そうに笑う。
それが私にはどうしようもなく頭にきた。
いや、彼女の行動一つ一つが私の神経を逆なでしている。
私は最後には我慢できなくなり、彼女の頬を叩くつもりで前に出たのだが。
「いない。」
私の目の前には誰も立っていなかった。
不思議に首をかしげようとしたときだった。
不意に首に人の手がかかる。
「ふふふ、ダーメ。 海里の腕じゃ私を傷つけるなんて無理よ。」
「っつ!!」
咄嗟に私は彼女を振り払い距離を置く。
急に振り払われた彼女はしばし嫌嫌しげに私を睨んだ後
「まあいいわ、玩具(あなた)はまだまだ使えそうだからまた今度ね。」
言うと彼女はフワッと目の前に一瞬で現われ・・・
「おやすみ、私の大事な鏡さん。」
その声を聞くと同時に私の意識は消えていった。



「・・・。」
私はなぜか路地の行き止まりで立ち尽くしていた。
回りには何も無い。
どうして私がここにいるのかも分からない。
「うーん、何か会ったような気がするんだけどなー。」
当りをキョロキョロすると私の姿が映る鏡が置いてある。
なんでこんな立派な鏡が無造作に置いてあるのだろう。
そう思い触ろうとした時急に携帯電話が鳴り始める。
「木乃香からだ・・・あっーーーもうこんな時間!!」
私は木乃香と話しながら路地を飛び出していった。


別談
海里が飛び出したあとには無人と無音につつまれるはずの路地。
しかし、そこには海里が立っている。
いや、海里に似た女性と言っておこう。
彼女は海里が走っていった道を寂しそうに眺めている。
「これでいいの。」
彼女は振りかえらずに誰もいないはずの方向に向かって話しかける。
すると、またもや誰もいないはずの路地から声が響く。
「ええ。 あなたも休みなさい。」
それは、とても優しく、響き、澄み渡るような声だった。


第十三話「鏡」完